Off ガイド

WoL(Wake-on-LAN)

WoL(Wake-on-LAN)についてのガイドです。WoL とは何か、設定方法、うまくいかないときの対処法を説明します。

WoL とは

Wake-on-LAN(WoL)は、スリープや休止状態などの省電力モードにあるコンピューターを、ネットワーク経由のメッセージで起動できるようにするネットワーク規格です。WoL は、コンピューターのネットワークインターフェースカード(NIC)に「マジックパケット」を送信して、起動処理を開始させる仕組みです。

必要な条件

WoL を使うには、起動したいコンピューターのマザーボードとネットワークカードが WoL に対応していて、その機能が有効になっている必要があります。また、コンピューターが電源とネットワークに接続されている必要があります

WoL には通常、有線接続が必要ですが、有線接続がないコンピューターでも、Wake-on-Wireless-LAN(WoWLAN)という規格で起動できる場合があります。残念ながら WoWLAN はあまり普及していないため、お使いのコンピューターのハードウェア仕様で WoWLAN が使えるかどうかを確認してください。

WoL で起動できるのは、一般的にスタンバイ状態か休止状態のコンピューターだけです。シャットダウンした状態から WoL で起動できるよう設定できるコンピューターもありますが、それは例外的です。

WoL を有効にする方法

ここでは Windows 11 で WoL を有効にする方法を説明しますが、Windows 10 以前でも同じ手順で設定できるはずです。

Windows アイコンをクリックして「設定」を検索します。クリックして「設定」を開きます。

Windows 11 で「設定」を開く

「設定」の右上に、現在のネットワークアダプターが表示されます。それをクリックして「ネットワークとインターネット」の設定を開きます。

「設定」からネットワークの設定にアクセス

「ネットワークとインターネット」の設定で、「ネットワークの詳細設定」をクリックします。

「ネットワークの詳細設定」に移動

ネットワークアダプターをクリックして展開します(複数ある場合は、「設定」に表示されていたものを選びます)。「その他のアダプター オプション」の横にある「編集」をクリックします。新しいウィンドウが開きます。

ネットワークアダプターのオプションを展開

新しいウィンドウで「構成」ボタンをクリックします。

ネットワークアダプターの構成

「詳細設定」タブをクリックし、下にスクロールして「Wake On Magic Packet」を探します。「値」を「Enabled」(有効)に設定する必要があります。

設定の正確な名前はデバイスによって異なります。「Wake On Magic Packet」やそれに近い項目が見つからない場合は、ネットワークカードのドライバーを更新する必要があります。Windows の標準ドライバーを使っているため、すべての設定を変更できない可能性があります。完全なドライバーパッケージは、マザーボードのメーカーの Web サイトから入手できるはずです。

「詳細設定」で Wake On Magic Packet を有効にする

次のプロパティがある場合は、これらも設定が必要になることがあります。

  • Shutdown Wake-On-Lan:Enabled(有効)
  • Wake on pattern match:Enabled(有効)
  • WoL & Shutdown Link Speed:10Mbps

「電源の管理」タブをクリックし、「電力の節約のために、コンピューターでこのデバイスの電源をオフにできるようにする」「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」「Magic Packet でのみ、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」にチェックが入っていることを確認します。「OK」をクリックして設定を保存します。

電源の管理の設定

これで、コンピューターをスタンバイ状態にして、Off などの WoL アプリで起動する準備ができました。

WoL のトラブルシューティング

上記の手順に従っても WoL でコンピューターを起動できない場合は、次のことを試してください:

  • AC 電源が接続されていることを確認します。コンピューターがバッテリーで動作しているときは、WOL は機能しません。
  • コンピューターのイーサネットポートにランプがある場合は、コンピューターの電源を切ってもランプが点灯したままか確認します。リンクランプが消えている場合はアダプターの電源が切れているため、コンピューターを起動するためのマジックパケットを受信できません。
  • BIOS で WOL が有効になっていることを確認します。通常は電源管理の設定にあります。
  • BIOS で Deep Sleep が無効になっていることを確認します(すべてのコンピューターにあるわけではありません)。この省電力設定はネットワークアダプターの電源を切ってしまいます。
  • USB などで接続するイーサネットドングルを使っている場合、スリープ中にコンピューターがその電源を切っている可能性があります。BIOS の設定で、スリープ中も USB デバイスに給電し続けられるか確認します。
  • BIOS でシステムのスリープレベルを調整してみます。スリープ状態は S1〜S5 と呼ばれ、それぞれ部品の電源を切る程度が異なります。

BIOS の設定を変更したあと、正しく反映させるために、一度 Windows のデスクトップまで起動する必要がある場合があります。

インターネット経由で WoL を使う

WoL を使えば、自宅の外からでもコンピューターを起動できます。試す前に、ローカルネットワークでコンピューターを起動できることを確認してください。ローカルで動かなければ、インターネット経由でも動きません。

インターネット経由でコンピューターを起動するには、WoL のマジックパケットを通過させ、起動したいコンピューターに転送するよう、ルーターを設定する必要があります。

ルーターの管理画面にログインする

ルーターを設定するには、管理画面にログインする必要があります。管理画面は、Web ブラウザにルーターの IP アドレスを入力すると開けます。通常は 192.168.0.1、192.168.1.1、192.168.1.254 のいずれかですが、メーカーによって異なります。ログインにはユーザー名とパスワードが必要です。わからない場合は、たいていルーター本体に記載されています。機種によっては初期パスワードが設定されているものもあり、こちらで調べられます。

ルーターの管理画面

UPnP でルーターを設定する

Off Helper を使っている場合は、UPnP を使ってルーターに必要なポート転送を自動で設定しようとします。そのため、まずスマートフォンの Wi-Fi をオフにして、モバイルデータ通信で PC を起動してみて、うまくいったかどうか、追加の設定が必要かどうかを確かめてみましょう。

ここまで読んでいるということは、うまくいかなかったので、ルーターの設定を変更する必要があります。ほとんどのルーターでは、UPnP は初期設定でオフになっています。

ルーターの管理画面は、メーカーや機種によって大きく異なります。この例では、UPnP のチェックボックスは「Advanced Settings」の中にあります。

ルーターの管理画面の UPnP

UPnP をオンにして設定が反映されたことを確認したら、メニューの Off Helper アイコンをクリックし、Auto Map Ports をいったんオフにしてからオンに戻すと、Off Helper の自動ポートマッピングをもう一度実行できます。

スタート メニューのコマンド プロンプト

ルーターを手動で設定する

UPnP での設定がうまくいかなかった場合や、ルーターを手動で設定したい場合は、次の手順で設定します。ここでも、管理画面のどこに該当する設定があるかはルーターによって異なりますが、おおまかな流れはつかめるはずです。

管理画面で、ポート転送のセクションを探します。WoL の標準ポートはポート 9 です。起動したいコンピューターの IP アドレスにポート 9 を転送する新しいルールを追加する必要があります。内部ポートを 9、外部ポートも 9 にして、TCP と UDP の両方のプロトコルを使うよう選択します。

ルーターの管理画面のポート転送

まれに、ブロードキャストアドレスへの転送を許可しているルーターもあります。ブロードキャストアドレスとは、コンピューターの IP アドレスの最後の数字を 255 に変えたものです。たとえば、コンピューターの IP が 192.168.0.20 なら 192.168.0.255 に、10.10.10.15 なら 10.10.10.255 に転送します。ルーターがこれを有効なアドレスとして受け付けるなら、個々のコンピューターの IP を気にする必要がなくなるため、コンピューター固有の IP に転送するよりもこちらのほうがおすすめです。

うまくいけば、ポート転送の入力画面に、コンピューターがその IP アドレスと一緒に表示されているはずです。表示されない場合は、コンピューターが使っている IP アドレスを調べる必要があります。その方法のひとつは、コンピューターでコマンド プロンプトを開くことです。

スタート メニューのコマンド プロンプト

コマンド プロンプトで「ipconfig /all」と入力して Enter キーを押します。ネットワーク接続についてのすべての情報が一覧表示されます。この中の「IPv4 アドレス」の横に、ローカル IP アドレスが表示されています。

コマンド プロンプトでの ipconfig /all の出力

ポート転送を設定すれば、WoL は動作するはずです。ただし、ルーターがときどきコンピューターの IP アドレスを変更することがあります。そうなると、ポート転送の設定が無効になってしまう可能性があります。これを防ぐには、この IP アドレスをこのコンピューター専用に予約するようルーターに設定します。

この設定が管理画面のどこにあるかはルーターによって異なりますが、「固定 IP アドレス」や「アドレス予約」のような名前になっているはずです。ネットワーク上のデバイスの一覧からコンピューターを選択するか、それができない場合は、コマンド プロンプトの「ipconfig /all」で調べた情報を入力します。

ルーターの管理画面での固定 IP アドレスの予約

設定の場所や方法についてさらにサポートが必要な場合は、ルーターのメーカーの Web サイトでルーターのマニュアルを確認できるはずです。openmyip.com も役に立ちます。

すべてが正しく設定されたかどうかは、こちらのオープンポートチェッカーで確認できます。パブリック IP アドレスは自動で取得されるはずです。今開いたポートを入力し、ツールで「Open」と表示されることを確認してください。

これで、インターネット経由でコンピューターが WoL パケットを受信できるようになったはずです。

それでもポート転送がうまくいかない場合は?CGNAT を確認

ポート転送のルールを正しく設定したのに、ポートチェッカーでポートが「Closed」や「Filtered」と表示される場合は、プロバイダがキャリアグレード NAT(CGNAT)を使っている可能性があります。CGNAT では、プロバイダが顧客一人ひとりに専用のパブリック IP アドレスを割り当てるのではなく、1つのパブリック IP アドレスを多くの顧客で共有します。WoL のマジックパケットを含む外部からの接続は、ルーターに届く前にプロバイダ側で破棄されてしまうため、ルーターでいくらポート転送を設定しても動作しません。

CGNAT が使われているかどうかを確認するには、ルーターの管理画面にログインし、インターネット、WAN、パブリック IP として表示されているアドレスを探します(通常はステータスやインターネット設定のページに表示されます)。次に、同じネットワーク上のデバイスで whatismyipaddress.com にアクセスします。2つのアドレスが一致すれば CGNAT は使われておらず、原因は別のところにあります。異なる場合は、ルーターとインターネットの間のどこかで、通信がもう一度 NAT されています。

ルーターの WAN アドレスが 100.64〜100.127 で始まる場合(例:100.69.90.211)は、CGNAT が使われているのは確実です。このアドレス範囲は CGNAT 専用に予約されているためです。WAN アドレスが 192.168、10.、172.16〜172.31 で始まる場合は、CGNAT が使われているか、家の中に2台目のルーターやモデムがある状態(ダブル NAT と呼ばれます)です。ダブル NAT の場合は、プロバイダのモデムを「ブリッジモード」にできるか確認するか、モデムにも同じポート転送ルールを設定して、ルーターに転送してください。

CGNAT が使われている場合は、次の方法で解決できます:

  • プロバイダにパブリック IP アドレスを依頼する。これがいちばんの解決策です。プロバイダに連絡して、CGNAT から外してパブリック(「固定」や「専用」と呼ばれることもあります)IPv4 アドレスを割り当ててもらうよう依頼してください。頼めば無料で対応してくれるプロバイダも多く、低価格のオプションとして提供しているプロバイダもあります。割り当てられれば、ルーターの WAN IP が whatismyipaddress.com に表示されるアドレスと一致し、今あるポート転送のルールが動作し始めるはずです。
  • 代わりに VPN で自宅のネットワークに接続する。プロバイダがパブリック IP を提供できない、または提供してくれない場合は、VPN で自宅のネットワークに接続し直すことで、CGNAT を完全に回避できます。CGNAT がブロックするのは外部からの接続だけなので、自宅から外向きに接続する VPN は影響を受けません。VPN サーバーを内蔵しているルーターもあります(管理画面で WireGuard や OpenVPN を探してください)。または、ネットワーク上の常時稼働しているデバイスで Tailscale などの無料サービスを使うこともできます。スマートフォンを VPN に接続すれば自宅のネットワークにいるのと同じ状態になるので、ポート転送なしで、家にいるときと同じようにコンピューターを起動できます。

自宅のネットワークに起動したいコンピューターが複数ある場合は、毎回違う外部ポートを指定して、上記の手順を繰り返します。内部ポートにはポート 9 を何度でも使えるはずですが、外部ポートと内部のコンピューターの IP アドレスは1対1で対応させる必要があります。WoL クライアントでは、特定のコンピューターを起動するために、そのコンピューター用に設定したポートを指定します。Off アプリでは、「コンピューター情報」画面の「Wake-on-LANポート」でこの設定ができます

Off アプリの「コンピューター情報」画面:Wake-on-LAN ポート

コンピューターが VPN 経由でインターネットに接続している場合、VPN 接続中に表示されるパブリック IP アドレスにマジックパケットを送っても届かないことがほとんどです。インターネット経由でコンピューターを起動するには、WoL クライアントに実際のパブリック IP アドレスが必要です。実際の IP アドレスは、VPN から切断して whatismyipaddress.com にアクセスすると確認できます。Off アプリでは、「コンピューター情報」画面の「パブリックIPアドレスの上書き」欄に入力できます。この IP アドレスはときどき変わることがあるため、あとで更新が必要になる場合があります。

Off アプリの「コンピューター情報」画面:パブリック IP アドレスの上書き